加藤大岳先生の占例検討:昭和13年【1938年】の世界の大勢・・・復之師『易学大講座 四巻』より・・・
占例検討:昭和13年世界の大勢
おはようございます^L^
きょうは昨日「中行獨り復る」になった、加藤大岳先生が筮占した”S13年の世界の状勢”の占例検討のお話です。:
ずいぶん古い話になりますが、昭和13年度の大勢に関する『運命年年鑑に記載された加藤大岳先生の易占断は驚くばかりの的確さを示し、各方面より脅威と嘆称の声が聞かれましたばかりでなく、これによって占術の真価を社会一般に認知させる力が大きかったことは何とも嬉しい極み【きわみ】でございました。
加藤大岳先生の”易学講座”の講義中に、この昭和13年の大勢の占断のなかで、外交関係に関する占断の理由について聴講者からの質問があり、それに対して先生の説明がありました。 本講座による通信聴講の読者の参考にもなると思い、先生の応答をここに掲げます。それに先立って便宜上、占断記事の全文を『運命年鑑』からここに転載いたします。
◆昭和13年の世界状勢の動向如何・・・復之師
非常なる期待をはらみつつ発火点の一歩手前においてなんとか爆発を避けようと焦慮しながら、しかも各国ともに自国の利益擁護と正義伸長のためには、発火に至ろうとする摩擦熱の発生をも辞することができない矛盾と焦燥と不安の渦中にある世界状勢は昭和13年にはい如何【いかに=どのよう】に動くか?
問題はあまりに大きい。 しかしこの巨大な生き物の動向が、ただちに我々一般個人の小さな生活まで、激動を与えずには措かないほど 近代国家は、社会は、個人は、密接なつながりのもとに置かれている。われわれの目が、絶えず世界の動きを凝視せずにおられない所以である。
さて、それならば世界の動きはどう変わるか ?
われわれが易の教えに聴こうとするのは、この謎を解く鍵として理性的な観察が全然役に立たないからではなく、その観察をより正しくせんがためである。

「復」之「師」
筮に質【ただ】して得たる卦は「復」の「師」に之〔ゆ〕く卦である。 復は俗に「一陽来復」という句によって知られる通り、陰気の中にかすかに陽気を萌【きざ】して来るときであるが、これを見て直ちに祝福するのは早計である。
冬来りなば春遠からじ、春去り行けば夏近づく、と言う四季の巡行のごとく、時に従って陽気が募【つの】り、あるいは陰気が長ずるというのは まことに自然の理で、文王の作と言われる易の彖辞〔たんじ〕に、この卦を見て、
「出入疾いなく朋来たるに咎なし」
と云っているのは、このような正しい理・正理を喝破したもので、この卦象【かしょう】にならって、国際関係の危局を打開するために「出入疾なし」と外交折衝が頻繁に行われ、かつ「朋来たるに咎なし」の友好関係が保持されることが望ましいばかりでなく、かかる努力は、この年のおいて。さらに真剣に行われるであろう。
しかし かかる努力が完全に奏功するかどうか。陰の氣の中に陽氣を萌【きざ】したこの卦を見て孔子述作の彖傳では
「剛・長ずるなり」
と云っている。 陽は剛なるものであり、長ずるに従って強となり暴となる勢いをも蔵しているのである。 故に この卦は、国際間に友好保持のための努力が払われる一方、各国ともに対外策は強硬化し危険の道を深める兆候があると共に、剛の進み長ずるこの卦は、また老衰国家に対する新進国家の攻勢とも解し得るであろう。 あるいはまた、嘗って【かって】栄え近く抑制されていたものの勢威回復のための進撃とも見ることができるであろう。
それゆえ、来復した陽氣の萌【きざ】しが如何に伸び、如何に動くかについては凝視を怠ってはならない。
「至日・関を閉じ、商旅・行かず」
と教えているような戒心を持って成り行きを見守らなければならないのであるが、筮してこの辞に合うのは、一面 通商関係の不振をも暗示したもの受け取ってよい。 すなわち関を閉じて商旅の行かないのは、外貨排斥の顕著な占辞と解すべきだからであるある。
斯〔か〕くて坤の復中に震の振動を蔵し、剛が勢力を得んとして、頓【とみ】に紛擾【ふんじょう】の度を深める復の動きが、いかなる変化を辿って行くか。 卦は「師」に之〔ゆ〕くことを示している。
師 は「師団」の師であって軍旅のことである。
「 険を行いて順、是をを以て天下を毒【おさ】め、而〔しか〕して民・之に従う」
時に応じては 危うくして、険の道である戦争もまた、あえて辞するわけにはいかない。毒をもって毒を制するが如く、擾乱【じょうらん】を一掃して究極の平和を希求せねばならないからである。
今、奮動の内卦・震が変じて艱難の坎となって師の卦となるのは、新たに世界的な戦機勃発の危険が濃厚であると見るべきで、しかも この危険が頂点に達するのは三月あるいは八月であろう。
前記のごとく この年の世界状勢は平和安穏【あんのん】を期待し得ず、わが国民も十分の覚悟を必要とするが、これに対処する道は
「君子・以て民を入れ衆を畜〔やしな〕う」
と師の卦の象傳に教えられたるごとく、国内の摩擦を断絶せしめて一致協力、民力を養い蓄〔たくわ〕えて、外に対する一途あるのみ。(以上)
◆ここから先生の説明に入る
この占断で不審に感ぜられたのは、戦機勃発の危険が頂点に達するのを何故、三月?(三月には独墺合邦・・・ドイツとオーストリアの合邦あり、世界対戦の前夜を思わしめたり・・【編者注】あるいは八月(七月末に張孤峰事件【張鼓峰事件】勃発、八月中極東に戦雲漂う 編者注)と断じたかということですが、これは非常に簡単なんですが、五行易、つまり いわゆる断易の方を応用したために、それに対する知識の無い方が不審に感じられたのであろうと思います。
ところで三月を仮想したのは、この卦では はじめ初と二と変じていますので、そこに時間的な序列を見るとすると、

本卦:復
一変:坤
二変:師
となります。そうするとそれに次いでの【これに続く】推移は、

一転:升
再転:恒
三転:大過
・・・このようになる勢いを蔵しているわけで、大過は大いなる過ちなので、それを危険期と見ましたが、それは三転後に来たる生卦なので、まあ三月と断じたわけです。
【易爺の蛇足】
上の本卦⇒一変⇒二変⇒一転⇒再転⇒三転への変卦は、
断易【五行易】の本宮から第一世、第二世、・・・第五世までの変化と同じですね^L^
・・・幽魂卦は第五世の四爻を変じ、帰魂卦はさらに初・二・三爻を変ずるということです^L^
それから復に五行易の干支【えと】六親を配しますと、

こうなっています。ニ爻に官鬼があります。官鬼は争と見るのですが、その官鬼は寅の上にあって発動しています。 だから戦争の危機を蔵していると見るのですが、その官鬼の寅の動きを発動させるのは申です。申は寅を冲して動かす・・・冲動させますが、申を月に当てると八月なのです。
まあこうした理由から時期を仮想したわけであります。
・・・以上『易学大講座 第四巻』より・・・
きのうのブログの大岳易の特徴を田中洗顕先生が五つに纏めらていた:
◆加藤大岳先生の易占術・岳門易法の特徴について田中洗顕先生は次の五つになるとまとめられています:
① 合理性の追求(重複傾斜)
② 得卦尊重(本卦重視)
③ 各流派の占法の統合
④ 断易概念の摂取
⑤ 平明な易占
、の中の4番目の特徴である断易の手法を取り入れて、応期をもとめる占法になります^L^
・・・明日も大岳先生の易占に対する考え方を垣間見ることができる「易占法講座」のなかにある、友人がその奥さんの懐妊如何【いかん】を
占った占例をUPする予定です^L^
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